【奈良 相続放棄】行方不明だった父親の相続放棄(3か月以上経過)のケース
状況
①Cさん(男性、40代)は、父親の相続放棄の件でご相談に来られました。
Cさんの父は、Cさんが幼少の頃に家を出たまま行方不明になり、以後全く音信不通でした。その父に関する文書が、関西のある市役所から届きました。内容は、Cさんの父が1年ほど前に亡くなったが税金の滞納がある、Cさんが相続人なのでそれを支払ってほしいというものでした。Cさんはその時に初めて父親の死亡を知りました。
②Cさんは、相続放棄をしなければならないことは分かっていましたが、父が亡くなってから3か月以上経っているが相続放棄できるのか、相続放棄をするにはどうしたらいいかとのご相談でした。
司法書士の提案&お手伝い
①まず、Cさんに対し、相続放棄は自分が相続人になったことを「知ってから」3か月以内に行えばいいので、Cさんが市役所からの文書を受け取ってから3か月以内に行えばいいことを説明しました。
②幸いまだ3か月以内だったので、すぐに相続放棄の手続きの準備を進めることにして、当事務所でその依頼をお受けしました。相続人としては、Cさんの他に弟のBさんもいました。Bさんのところにも市役所からの文書が届いていましたので、Cさんから声をかけてもらい、2人一緒に手続きを行うことになりました。
結果
①相続放棄は、父親が亡くなった場所の家庭裁判所に書類を提出しなければなりません。戸籍等を調べたところ、父親の最後の住所が関西のある市でしたので、その市を管轄する家庭裁判所での手続きとなります。手続きは郵送で問題なくできますので、順次準備を進めました。
②通常、親の死亡は亡くなったらすぐに知ることになります。しかし、Cさんの場合は死亡から1年ほど経って初めて知りましたので、自分が相続人になったことを「知ってから」3か月以内であることを裁判所に理解させなければなりません。当事務所では、そのための文書を工夫作成して家庭裁判所に提出しました。
③家庭裁判所からは、Cさん、Bさんに対し今回の手続きに関する問合せの文書が送られてきました。Cさん、Bさんに死亡から3か月を過ぎて手続きを行った事情などを再度確認するための文書です。Cさん、Bさんには、回答書に今回の事情を正直に書いてもらい、当事務所でもその内容を確認して、裁判所に返送しました。
④後日、家庭裁判所からは相続放棄を受理しましたとの通知書が送られてきました。これで正式に相続放棄の成立です。Cさん、Bさんの相続放棄の結果、父親の兄弟姉妹が次の相続人になりますので、次の対応も必要になることを説明して、業務を終わりました。