不動産の登記で「国籍等」の申出が必要になりました
2026年(令和8年)10月5日から、相続・購入・贈与などで新たに不動産の名義人になる方は、登記の申請と一緒に「国籍等」を申し出ることになりました。
日本国籍の方も「日本」と申し出ます。 多くの方は、住民票を「本籍入り」で取っていただくだけで足ります。
この記事では、対象になる方、用意するもの、国籍が公開されるのかを整理します。
2026年10月5日から、何が変わったのか
登記と一緒に申し出る項目に「国籍等」が加わりました
2025年4月から、不動産の名義人になる方は、登記の申請と一緒に「検索用情報」を申し出ています。引っ越しなどの際に、法務局が住所の変更登記をするために使う情報です。
2026年10月5日から、この項目に国籍等が加わり、次の6つになりました。
| 申し出る項目 | |
|---|---|
| 1 | 氏名 |
| 2 | 氏名の振り仮名(日本の国籍をお持ちでない方は、ローマ字の氏名) |
| 3 | 住所 |
| 4 | 生年月日 |
| 5 | メールアドレス(お持ちでない場合は「なし」) |
| 6 | 国籍等(2026年10月5日から) |
(不動産登記規則158条の39第1項。令和8年法務省令第23号で追加)
日本国籍の方は「日本」と申し出ます
申請書には、たとえば次のように書きます(法務省の記載例より)。
権利者 ○○市○○町一丁目5番6号
法務 太郎
氏名ふりがな ほうむ たろう
生年月日 平成10年10月10日
国籍等 日本
メールアドレス ……
「国籍等」の「等」は、「台湾」「ヨルダン川西岸地区及びガザ地区」の2つの地域のことです。国の名前の代わりに、この地域名を申し出る場合があるためです。
費用はかかりません
国籍等の申出に、登録免許税などの費用はかかりません。
対象になる方・ならない方
| 内容 | |
|---|---|
| 対象になる方 | 相続・売買・贈与・新築などで、新たに所有者として登記される個人の方(ご自身が登記の申請人になる場合) |
| 対象になる登記 | 所有権の保存の登記、所有権の移転の登記、合体による登記等、所有権の更正の登記(新たに名義人になる方がいる場合) |
| 対象にならない方 | 法人(会社など)/ご本人以外の方が代わりに申請する登記(代位による登記)で名義人になる方 |
すでに名義人になっている方は
すでに不動産をお持ちの方も、ご希望があれば後から国籍等を申し出ることができます。帰化などで国籍が変わったときも、変更後の国籍等を申し出られます(不動産登記規則158条の40)。
用意するもの ── 住民票は「本籍入り」で
国籍等を申し出るときは、国籍等を証明する書類を添えます。
| 名義人になる方 | 国籍等を証明する書類の例 |
|---|---|
| 日本国籍の方 | 本籍の記載がある住民票の写し、または戸籍の附票の写し |
| 外国籍の方 | 国籍・地域の記載がある住民票の写し、在留カードの写し、特別永住者証明書の写し、旅券(パスポート)の写し |
日本国籍の方は、住所の証明と兼ねられます
不動産の名義人になる方は、これまでも住所を証明するために住民票を出していただいています。その住民票に本籍が載っていれば、国籍等の証明も兼ねられるので、追加の書類は通常要りません。
住民票をご自身で取るときは、窓口やコンビニの交付で本籍の記載があるものを選んでください。
本籍を省略した住民票だと、取り直しになることがあります
住民票は、何も指定しないと本籍が省略された形で出ることがあります。本籍が載っていないと国籍等の証明にならず、取り直しになる場合があります。 決済日や相続登記の期限が近いときは、最初から本籍入りでご用意いただくと安心です。
外国籍の方の旅券(パスポート)
旅券の写しを使う場合は、有効期限内のものに限られます。
海外にお住まいの方・外国籍の方が名義人になるとき
海外にお住まいの方も、国籍等を申し出ます
2026年10月5日以降は、海外にお住まいの方が名義人になる場合も、国籍等を含めて申し出ることになっています。
相続人の中に海外にお住まいの方がいる場合の手続全体は、「相続人が海外に居住している場合」もご覧ください。
国籍が2つある方・無国籍の方
- 国籍を2つ以上お持ちの方は、すべての国籍が記録されます
- 無国籍の方は「無国籍」と記録されます
- 「日本以外」「国籍不明」と書いて申請することはできません
国籍は登記簿に載るのですか
登記事項証明書には載りません
申し出た国籍等は、登記事項(登記簿に記録されて公開される事項)ではありません。 登記事項証明書(登記簿謄本)に国籍が載ることはありません。法務局が内部で持つ情報です。
何のために申し出るのか
法務省の通達は、目的を次の2つとしています。
- 相続のときに適用される法律の確認。 名義人が亡くなったとき、どの国の法律で相続人を決めるかは、亡くなった方の国籍で決まります(法の適用に関する通則法36条)。国籍が分かっていれば、相続登記の相談や申請を適正に、円滑に進められます
- 不動産の保有の実態の把握。 国土の適切な利用・管理のため、外国の方による不動産の保有の実態を把握するとされています
申出を忘れたらどうなるか
登記官から「補正」を求められます
国籍等の申出がない場合、法務局から補正(申請内容の追加・訂正)を求められます。 すぐに申請が却下されるわけではありません。
とはいえ、補正の対応で登記の完了が遅れることがあります。不動産の購入の決済や相続登記の前に、本籍入りの住民票をご用意いただくと、手続が滞りにくくなります。
住所等変更登記の「検索用情報の申出」との関係
国籍等は、2025年4月に始まった「検索用情報の申出」に加わった項目です。
検索用情報を申し出ておくと、引っ越しなどで住所が変わったときに、法務局が住所の変更登記をしてくれます(スマート変更登記)。2026年4月から住所等の変更登記は義務になっています。
→ 住所等変更登記の義務化とスマート変更登記は、「相続登記の重要性と手続きの流れ」の住所等変更登記の節をご覧ください。
まとめ
- 2026年10月5日から、相続・購入・贈与などで不動産の名義人になる方は、登記と一緒に国籍等を申し出ます
- 日本国籍の方も「日本」と申し出ます。費用はかかりません
- 日本国籍の方は、住民票を「本籍入り」で取っていただけば、通常は追加の書類は要りません
- 国籍等は登記事項証明書には載りません
ご相談ください
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